Coffee Yamaguchi

珈琲ヤマグチ内観,Coffee Yamaguchi Interior
TitleCoffee Yamaguchi
Type of constructionRenovation work
VenueNaka-gyo ward, Kyoto City
UsageCafe
Design and ConstructionTonch Minimal Construction
Studio Common Property
Collaborationnatto / Coffee Yamaguchi
Floor Area55.21㎡
Construction PeriodJuly – October 2023
Type of structureWood

Overview

京都駅からバスと徒歩で30分ほどの住宅街。西ノ京左馬寮町にある築90年を数える木造建築。商店からの喫茶店へのリノベーション。店主の所作がなめらかになるように什器を設えて、地域になじむように元来そこにあったような空間づくりを心がけた。

工事名称珈琲ヤマグチ
工事の種別リノベーション工事
所在地京都市中京区西ノ京左馬寮町
用途喫茶店
デザインと施工とんち造作計画 スタヂヲ共有財産
施工パートナーnatto 珈琲ヤマグチ
施工面積55.21㎡
工事期間2023年7-10月
建物の構造木造

Story

京都らしい連棟の「町屋建築」だったが、両隣の棟はすでに建て替えられている。何度か改装されており、建築当時の面影をみることはできなかった。

施工前の商店
施工前の商店のバックヤード(ミニキッチン)

古道具や旧い文化が好きなクライアントとディスカッションを重ねて、場所や建物がもつ力を引き出し、強調することができるように工事を進めた。天井を落とすと建築当時の2階床梁とおそらく平成初期に改築したときの梁が現れた。既存の内壁(薄いプリント合板)を剥がすと90年前の壁を顔を出した。

90年前に造られた土壁は部分的に崩れ、小舞竹だけが残っている箇所もあり補修するのは困難だと判断し、石膏ボードで壁を作りモルタルで仕上げることにした。
建築当時階段があった場所を示す跡に美しさを感じ、客席の壁の一部はあえて壁を新設せずに、先人の左官仕事が見えるように施工した。

着工前に平面プラン・パースを作成したものの、内壁・天井などの解体してから空間構成を考える中で、プランを大きく変更することになった。 カウンターや棚などの什器、厨房設備はクライアントに現場でヒアリングを重ねてディティールを調整しながら施工した。

たとえば、こんなシミュレーションをした。喫茶店へ客が来店し、着席し、オーダーを聞く。カップを温め、豆を計量して、ミルで挽く。フィルターをドリッパーにセットしてドリップする。ドリップするときの最良のカウンター高さは何センチか?

ところで、京町屋の間取りの典型で土間(トオリニワ)を長くとるという特徴がある。トオリニワは、屋内でありながら「なかば外あつかい」されていた。この建物もそうだったと思われる。トオリニワ部分は今回のリノベーション前はミニキッチンとして使われていたが、これはトオリニワの名残りかもしれない。

柱の奥の幅1.2m程度のエリアが旧トオリニワ部分

トオリニワ部分は床を上げて給排水・電気・ガス等の設備配管スペースとした。化粧室への通路であり、回廊(ギャラリー)になっている。トオリニワは「半ば外あつかい」だったということを踏まえて、回廊の床材は高所作業で使われる足場板を選んだ。ウッドデッキや自然公園の遊歩道のようなイメージさせるねらいがある。

ヴィジュアルにおいては、主張を抑えたアノニマスなテイストを試行した。床は土間モルタルに防塵防水クリア塗装、壁はモルタル左官仕上げを基本とした。壁モルタルは、90年前の土壁と調和した。喫茶店の店主が大切にしていることと調和することを第一義だと考える。 逆を言えば、内装と人物(店主のパーソナリティ)が齟齬を起こさないことになる。

自家焙煎の珈琲豆の通信販売・イベントでの販売からはじまった珈琲ヤマグチ。東京でスタートしているが、実店舗は縁深いとは言えない京都の住宅街に構えることになった。京都の文化に溶け込みささやかな交差点になることを願っている。

(文:佐橋)


珈琲ヤマグチホームページ https://coffeeyama3.shop-pro.jp/
Instagram Account https://www.instagram.com/_3_yamaguchi/